融資を受けることを目的とした事業計画書を作成する場合は、いくつかのポイントがあります。ここでは信頼される事業計画書の書き方について、留意したい点をお知らせいたします。
①損益計算書をしっかり作成する
事業計画を立てる際には経費の妥当性、飲食店の一般的な経費の割合(多すぎず、少なすぎず)の中に入る損益計画を考えましょう。
まずは売り上げの根拠を明確に
事業計画書は、必ず想定売り上げを書く必要があります。「店舗経営で必要な売り上げの目安はとは?」のページにも記載しましたが、店舗を開業する前に、売上の予測をすることはかなり、難しいものなのです。絶対に予測が当たるという保証はありません。では、金融機関や公共の融資の担当者は、何を基準に融資ができるかどうか見るのでしょうか?
それは、事業計画書に書かれている内容から、なぜこの売り上げが予測できるかの、売上根拠が妥当かどうかを見て、判断するのです。
売上根拠は(飲食店などの店舗においては)以下の計算で出すことができます。
売上根拠の計算方法
一例を挙げますと以下のようになります。
「売り上げ=客単価×席数×回転数」
- 例:ランチ提供もある、ビストロ
- 定休日:日曜日(ただしランチ営業は土曜日は無し)
- 席数:30席
- 営業時間:昼11:30~14:30
- 客単価 昼1000円 夜4000円
- 昼(月~金)1000円×30席×1回転×22日=66万円
- 夜(月~木)4000円×30席×0.6回転×18日=129.6万円
- 夜(金、土)4000円×30席×1.3回転×8日=124.8万円
- 合計月間売上 320.4万円
損益計算書の主な経費は、売上の原価、人件費、家賃
以下に、上記の3つが、経費としてどの程度が売りあげの割合となるのが妥当か挙げていきます。
- 原価 大体25%~35%を目安にしましょう。たとえ、実際に開業した際には原価の高いものを提供する予定だとしても、融資を受けるための事業計画書に記載する場合は、上記を超えないように気を付けましょう。
- 人件費 経営者の人件費を含めて、25%~30%を目安とします。原価と人件費を足して、大体55%~65%に入るようにしておくことがポイントです。
- 家賃 家賃は事業計画書に記載する場合、12%を超えると高すぎるとみられるため、売上の12%に収められるように計算しましょう。できれば6%~8%に設定しましょう。
返済原資とは何か
融資をする機関が事業計画書の中でも一番重視するのが、返済原資が十分にあるのかという点です。返済原資とは、売上から経費を払い、税金を納めたあとに残る現金に減価償却費をプラスしたものです。返済原資が返予定の金額に足りなければ、融資したお金を支払できると見なされず、審査を通ることができません。
②過去の経験と技術はあるか
過去に開業したい店舗の勤務経験があれば、融資が通りやすくなります。経験がある場合は、職務歴などを事業計画書に添付しましょう。勤務経験がなくても、商品知識が豊富であるなど、理由があれば、問題なく借入ができますので、アピールポイントがあれば記載するようにしましょう。
自己資金の有無を金融機関は必ずチェックする
自己資金が全くないと、金融機関からの融資は非常に難しくなります。できれば初期投資額の3分の1程度は、自己資金が必要だとお考えください。初期投資額が900万円とすると、そのうち300万円は自己資金の必要があるのです。
「店舗開業ではじめに準備すべきことは?」でも申し上げましたが、初期投資にお金をかけたいとしたら、少しずつでも、お金を貯めることが良いのです。親や親類からお金を借りた場合などは、自己資金とみなされません。
以上、事業計画書の書き方の基本的なところを説明しました。このポイントを抑えることで、自分の店舗がどのように収益を上げて、成功する道を歩むのか見えてくると思います。融資担当者との面談の際にも、自身を持って受け答えができることでしょう。
店舗開業準備・経営計画について
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